TikTokでバズる音源を生み出すシンガーソングライター・うじたまいさんにインタビュー!製作の裏側やHey! Say! JUMPへの楽曲提供などについて聞いてみた!
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うじたまいの楽曲製作の裏側に迫る!
「バズる音源」はどうやって作られているの?
--- それでは次に、楽曲製作についてお伺いしていきたいと思います。TikTokで公開している曲は、どんな動画に合わせてもらうかイメージをしてから作られるんですか?
うじたまい:そうですね、撮りやすいだろうなっていうテーマから決めることが多いです。例えば「うっぷん」って言うオリジナル音源は、鬱憤が溜まってるなら、とりあえず楽しく鏡で「うっふん」ってしてみようよ、みたいなテーマを決めてから製作していきました。
@ujitama0
うじたまい:そんな感じで言葉遊びが基本的に好きなので、そのワードをメモしておいて、テーマから作るってことが多いです。
--- なるほど。どういう言葉で作るか、というのが最初に決まっているんですね。曲は歌詞から作るんですか?
うじたまい:歌詞から作るときもありますし、歌詞とメロが一緒に出てくるときもあります。この2パターンが多いかもしれないですね。
アップしているほとんどの音源が、TikTokのための書き下ろし!
---実際に楽曲が使われるのは15秒~30秒ほどかと思うのですが、その部分以外も製作されるんですか?
うじたまい:いえ、ものにもよるんですけど、TikTokに登録しているほとんどの曲は、ほとんどTikTok用に作っています。
--- なるほど。それでは「この曲でみんなで踊ってもらいたい」という目的で製作されてるんですね。
うじたまい:そうですね。またダンスだけではなく、色んな使い方をして遊んでもらえたらいいなって思って作っています。
TikTokで親しまれるために意識しているポイント
--- TikTokで多くの人に楽しんでもらうために意識しているポイントはありますか?
うじたまい:3秒以内くらいに、何か突っ込めるポイントを入れるというのは意識しています。歌に関してもだし、動画に関しても、早めにインパクトがないと最後まで見てもらえずに流されてしまうので。
--- 突っ込めるポイントというのはユーモアを感じさせるような内容になるんでしょうか?
うじたまい:そうですね。TikTokに関してはけっこうユーモア重視なところはあります。綺麗なものを作るというよりは、面白いって思ってもらえることを意識して作っていますね。
振り付けも考案!「踊りたがり」だからこそ共感される楽曲
--- 「ポップアンドボサノバ」など、振付が付いている音源もありますが、こちらの振付はご自身で考案されたんですか?
@ujitama0 意外な組み合わせ、と人に言われつつ付き合って4年が経ちました。#ポップアンドボサノバ
うじたまい:そうです。基本的に自分のオリジナル曲の振付は自分で作ってます。
--- 振付はうじたさんの専門外のところでもあると思うんですけど、大変だったりしないですか?
うじたまい:あ、わたし結構ダンスもやっていたんですよ。
--- そうだったんですね!
うじたまい:だから、自分が好きに踊れる曲を作っているところもあるかもしれないです。踊りたがりが作ってしまってる感じで(笑)
--- なるほどなるほど。ご自身が踊れるからこそ、踊り手さんの気持ちに沿った曲ができそうですね。
うじたまい:そうかもしれないですね。真似していただけたりすると、すごい嬉しいなって思います。
--- 真似しやすいような振付を意識されたりしてるんですか?
うじたまい:そうですね。音楽に関しても振付に関しても、わたしはキャッチーなものがすごく好きなので、みんなに覚えてもらいやすいものを意識して作っています。
代表曲「独りうた~September 調子はどうだい?~」について
--- それでは代表曲のひとつである「独りうた~September 調子はどうだい?~」についてお聞きしたと思います。こちらの楽曲は2万本以上の動画に使用され、その総合視聴数は約30万にも上るまさに「大バズりした」楽曲ですが、こちらはどういった経緯で製作されたんですか?
@ujitama0 『独りうた~September調子はどうだい~』フルが本日2月28日リリースされました!プロフ欄リンクからも飛べるので是非聴いてねっ #september調子はどうだい #おすすめのりたい
うじたまい:この曲を作ったのは、9月の始めにとあるニュースを見たことがきっかけでした。9月は夏休みが終わるタイミング。学校が辛い子は、そこで不登校になってしまったり、命を絶ってしまう子が多いと、そのニュースで報じられていたんです。わたしも学校にいけない時期があったので、その時の自分と照らし合わせて、新学期に臨む子たちに向けてなにか作れたらなという気持ちで製作しました。
--- そうだったんですね。その時は他の楽曲と同じように30秒しかなかったんですか?
うじたまい:あ、そうです。最初は30秒で完結したものだったんですけど、メッセージ性が強いと言うか、自分が言いたいことを言っちゃった動画だったので「分かる人には分かるけど、分からない人には分からないだろな」っていう未完成のものだったんですね。
--- なるほど。
うじたまい:でもそれをたくさんの人が歌ってくれたんです。共感して歌ってくれたり、アレンジして歌ってくれたり、この曲で始めて声出しをしてくれた子がいたり。音源をそのまま使うのではなく、自分で歌ってくれたっていうのが、この曲が広まった理由だと思います。自分だけでは届けられない層にも、みんなが代弁して届けてくれたっていう感じで。
--- 自分で想像していたよりも、たくさんの人に共感されていたんですね。それからだんだんとフルバージョンを望む声が上がってきたのでしょうか?
うじたまい:そうですね、たくさん頂いたので、さらに時間をかけて製作して、発表させていただきました。
ノンフィクションだからこそ、多くの人の心を繋ぐきっかけに
--- この歌詞の内容は「自分の経験も照らし合わせて製作した」とおっしゃっていましたが、ノンフィクションになるんですか?
うじたまい:はい。この歌は完全に過去の自分に手紙を書くようなイメージで書いた曲なので。
--- やはりそうなんですね。この楽曲に対して、どのような感想がありましたか?
うじたまい:わたしが学校に行けなくなった時は、すごくいじめられていたというわけじゃなくて、自分の心のキャパシティーがどんどん詰まってしまって、それが爆発してぷつんと糸が切れてしまったみたいな形だったんです。なんだろうな?漠然とした理由で、当時はなんで自分が辛かったのかも分からなかったという状況があったんですね。そこでこの歌をきっかけに、当時の自分と向き合ってその出来事を改めて人に話そうと思ったんですけど、その出来事に共感してくれる子がすごくいて。それがこう、自分自身でもびっくりしたと言いますか。
--- なるほど。
うじたまい:その時、わたし自身「自分だけじゃなかったんだな」って思えて、救われたんです。みんなもそう思ってくれたみたいで、コメント欄でも同じ経験をした、してるって子同士が話したりしていました。それを見て、この曲がみんなが悩みを言い合える、支え合える場所になっていると感じて、とてもうれしかったですね。
--- それはすごいですね。この楽曲を通してみんなが「一人じゃない」って思えたというか。
うじたまい:そうですね。ありがたかったです。
---コメント欄でみんなが自分の経験談を話し合う、というのがまた温かいですね。
うじたまい:やっぱりみんな、そういうことを身近な人に話すのは難しいですしね。でも、自分の気持ち自体に気付いてない子もたくさんいると思うので、誰かに話す、人の話を聞くっていうことはやっぱり大事だなって思いました。
--- なるほど。確かにそうですね。友達とかにも言えないし、親にも言えない。そんななか、顔も名前も知らない人にだからこそ、話せることがありますよね。そこで気持ちが救われたり、何かに気付くこともきっとある。
うじたまい:絶対あると思います。自分自身はそういう場所がなかったから、今の子はSNSも活用して、うまく人と付き合って行けばいいんじゃないかなっていう風に思います。
Hey!Say!JUMPへ提供した楽曲「ネガティブファイター」について
--- それでは更に楽曲製作についてお聞きしていきたいと思います。うじたさんはTikTokでの活躍が認められ、あの国民的グループ・Hey!Say!JUMPのNEWシングル「ネガティブファイター」の作詞作曲を担当されました。こちらは日本テレビで現在放送中の「探偵☆星鴨」の主題歌にもなっており、大変話題になっています。この楽曲のこだわりのポイントはありますか?
うじたまい:わたし自身がそうなんですけど、SNSが多様化するなかで、なかなか自分にポジティブになれない、前向きな言葉を素直に受け取れないようなことが多いんです。周りにも「自分が好きじゃない」って言ってる子がすごく多くて。そこで、そういう気持ちを抱えながら戦えるというか、生きられる、心を肯定して行けるように、あえてネガティブなワードを使って歌詞を書いたところが、ポイントのひとつです。
--- なるほど。SNSで活躍されているうじたさんだからこそ紡げた言葉になっているんですね。
自分で歌う曲ではないからこそ大変だった点
--- それでは先に歌詞を書いて、あとからメロディーを付けられたのでしょうか?
うじたまい:この曲はサビのメロディを先に出して、そこに歌詞を付けるところから始めました。そこから歌詞を更に作って、繋げていきました。
--- 普段の作り方とは、少し違う作り方だったんですね。他にもHey!Say!JUMPさんに歌ってもらう曲を作るという点で、いつもと何か違いはありましたか?
うじたまい:女性アーティストに楽曲を提供したことはあったんですけど、男性アーティストへの提供は初めての経験だったので、いつもと違う感覚はありました。アーティストの声質や表現をきちんと理解して、それが活きるものにしたいというのがやはりあったので、自分では歌えないけど、Hey!Say!JUMPの皆さんだったら素敵になるだろうなっていうのを、私なりに考えて作らせていただきました。
--- なるほど。それではメロディーを作る時も、Hey!Say!JUMP!のメンバーの方々が歌っているところを想像しながら作られた?
うじたまい:そうですね。Hey!Say!JUMPさんの歌もたくさん聞かせていただいて「どの母音が一番聞こえやすいのかな」とか、色々なポイントを意識しながら書かせていただきました。でも、自分らしく歌詞を作らせていただけたので、すごく良いバランスで製作できたんじゃないかなって思ってます。
「ネガティブファイター」を手掛けてから、変わったこと
--- 今回、誰もが知っている国民的グループの、それもシングル曲を担当されたわけですが、これがきっかけで何か変化はありましたか?
うじたまい:そうですね。最初の方はあまり実感がなかったんですけど、SNSでHey!Say!JUMPさんのファンの方から温かいメッセージを頂いたりして、とてもうれしかったです。そこでやっと実感が湧いたというか。
--- なるほど。普段うじたさんの音楽に触れる機会がなかった人にも、届くきっかけとなったかもしれませんね。
うじたまい:はい。また、色々な人に聞いてもらえる分、受け取り方もたくさんあるだろうなと思っていたんですけど、自分が届けたかったメッセージを受け取ってくれた方もすでにいて、すごくありがたいなって思ってます。
--- 今(取材時)はリリースの一か月前ですけど、これから町のいたるところで流れたりもするんじゃないでしょうか?
うじたまい:そうですね。TV番組とかでも歌っていただけたら嬉しいなって思っています。