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【不幸自慢】キャラバンで91時間1枚もSR出なかった私の話聞く?【デレステ】

【不幸自慢】キャラバンで91時間1枚もSR出なかった私の話聞く?【デレステ】

皆さんは私のことを覚えているだろうか。前回のLIVE PARTYで由愛を1発で引き当てたデレステ担当医だ。話をしよう。あれは3日――いや、2週間前だったか。まぁいい、私にとっては日常の出来事だが、君たちにとってはたぶん恐怖の出来事だ。彼女には七色の名があるから何と呼べば……確か、最初に会ったときは「まさみ(仮)」。最初から人の話を聞かない患者だったよ。
※この記事は実話を基にしたフィクションです

大丈夫じゃない、重症だ

シンデレラキャラバンの南条光と伊集院惠

それは確か、2017年1月12日15:00~18日20:59まで行われていたシンデレラキャラバンの会期中だった。カルテを見ると、まさみ(仮)……患者Mとしよう。患者Mは、15日の昼頃に不調を訴えて午後1番の診察に飛び込んできた。彼女の顔面は蒼白で、切羽詰まった様子だったのを覚えている。

「もう、40時間SRが1枚も落ちてないんです」

ライブ報酬のSレアが落ちない

私は溜め息をついた。ドロップイベントの時に現れるステレオタイプのような患者だ。

「いいですか、気をしっかり持ってください。40時間程度どうってことありません。もっとひどい方は他にもたくさんいらっしゃいます」
「で、でも、私リアルラックはかなりいい方で、今までこんなこと…!」
「考え方を変えましょう。今は運を貯めているんです。今度ガシャを引いた時にSSRが出るように。それに、メダルが貯まればSRの惠さんや光ちゃんは絶対手に入るんですよ」
「だけど、私は光ちゃんのドロップ演出を……!」

40時間ドロップしない程度でばかげている。私の表情にはその思いが出ていたのかもしれない。患者Mは私にすがるようにして言った。

「SRが出るまで入院させてください! ベッドは空いているって聞きました。すべての同じ症状の患者のために、私の病状をもっと観察すべきです!!」

しばらくの押し問答の末、結局入院させることとなってしまった。この時私は気づいていなかったのだ、この患者がこの後、さらに症状を悪化させることになるとは―――

イベントログインボーナスのスタドリ

初診時、以下のことを確認している

  • 睡眠時以外はほとんどスタミナを漏らしていない
  • イベントページでもらえるスタドリ50も忘れず消費している
  • スタドリ20、30を合計3~4本消費している
  • 追加報酬確率アップ曲のみプレイしている
  • センターアイドルのスターランクは15
  • 消費体力は19の曲を選択
  • スコアはほとんどがSでクリア
  • 今回のキャラバンは合計150時間の会期である


SRドロップなしで44時間経過

入院初日の消灯の際、患者Mの病室に立ち寄った。デレステ科では入院を希望する患者は非常に稀だ。

「まさみ(仮)さん、お加減はいかがですか?」
「先生……やっぱり、SRが出なくて」

Sレアミンナノミカタ南条光

「気を確かに。まだ44時間ですよ。まだ慌てるような時間じゃないです」

この時は気落ちはしていたが、特に異常な様子は見られなかった。病院にいることで少し安心したのだろう。

SRドロップなしで55時間経過

入院2日目、朝一で病室に立ち寄った。

「先生、お腹が痛いです……」

SRが出ないプレッシャーで、実際に体調を崩す患者はあまり見たことがない。きっと元から胃腸が弱いのだろう。症状を聞き、それに合う薬を出すよう看護師に指示をした。しかし、腹痛で何度もお手水に駆け込みながらも、合間にデレステをプレイする姿勢は、デレステ専門医の私から見ても頭が下がる。非常に勤勉だ。

SRドロップなしで80時間経過

入院3日目となり、患者Mの証言通りならSRドロップなしで80時間が経過した。普通ならそろそろドロップしているはずだ。そう思い病室へ向かうと、慌ただしく看護師が駆け寄ってくる。

「先生、大変です! まさみ(仮)さんが……!」

見ると、患者Mがベッドでうめいている。その手にしっかり握られたスマホには、デレステのライブクリア画面。キャラバンメダルが2つ、その存在を主張していた。

デレステクリア画面のキャラバンメダル

「まずい……すぐに点滴の用意を!」
「はい、いつものIMS-346でいいですよね!? 30005番は混注しますか!?」

それにうなずこうとして、ハタと気づく。デレステ患者にはIMS-346が定番だ。看護師の判断は正しい。しかし、この患者はデレステのドロップなしで苦しんでいる、そこに346で良いのか―――私は、少し迷った末にこう呟いた。

「765」
「え?」
「IMS-765だ! 混注は30005番でなく、841番だ!」
「で、でもデレステ科には765は……」
「隣の病棟にあるだろう、早く!」

私の判断はどうやら正しかったようだ。IMS-765は患者Mの症状を落ち着かせた。後で判明したことだが、このタイプの患者にはIMS-315もよく効くらしい。

SRドロップなしで87時間経過

今朝のことがあったので、午後診療までの空き時間に病室を覗いた。患者Mは一見すっかり元気を取り戻したかのようだった。楽しそうにデレステをプレイしている。

「まさみ(仮)さん、嬉しそうですね。SRは出ましたか?」
「SR? 私はシンデレラフェスの時にしかガシャを引かないので、SRは出てないですけど……あっローカルガシャの話ですか?」

言動に違和感を覚える。

「まさみ(仮)さん、自分がどこにいるのか分かりますか?」
「病院、ですよね?」
「なぜ病院にいるのか分かりますか?」
「えっと……何か臨床実験じゃなかったでしたっけ。ここデレステ科ですよね?」
「……今、デレステでどのようなイベントが開催されているか、覚えていますか?」
「え、やだなぁ先生、今はイベントは開催されてませんよ。それより聞いてください、なんだか運がよくて、ずっとRアイドルがドロップし続けてるんです♪」

相原雪乃

質問しながら、患者Mの眼球運動を観察する。特に異常はなさそうだ。きちんと診察しなければならないが、おそらくは一過性健忘だろう。過敏に反応すると患者Mの混乱を招きかねない。

「それでは、夜にまたお伺いしますね」

入院以来初めて見る彼女の幸せそうな笑顔が、心にわだかまりを残した。


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